大学設置別学部卒業生の進路(2019年3月卒)

※2020/2/15『学校基本調査』の値を確報値に置き換え。

 文部科学省の『学校基本調査』の「卒業後の状況調査」から2018年度卒(2019年3月卒)の国立・公立・私立別の学部学生数の構成をみると下図のとおりとなります。国立大学において大学院等への進学が30%を超えて公立や私立よりも突出して高いですが、国公私のいずれであれ過半数の卒業生は正規職として就職しています。
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 これに、先に集計した「教員就職者数」と「公務員数就職者」を加えて構成比を再計算してみます。ここでは上図で10項目に分かれていた『学校基本調査』の区分を「進学者等」「臨床研修医」「教員就職」「公務員就職」「民間就職等」の5区分に集約しました。
 なお、教員の多くも公務員ですが『日本標準産業分類』の大分類で公務と教育は分けられているため、定義上「教員就職」「公務員就職」間のダブルカウントはありません。
 「民間就職等」については「就職者」のみならず、「一時的な仕事に就いた者」「就職準備中の者」「その他」「不詳・死亡の者」も含んでいます。「就職準備中の者」の中には教員や公務員の採用試験の浪人の方もいるでしょうし、「その他」の中には病気療養中ですぐには求職できない方もいるでしょう。一部でそういう方も含むものの、多くは企業等への民間就職市場の中にいるものとさせて頂きました。「不詳・死亡の者」にしても、確かに卒業後すぐに亡くなられた方もいるでしょうが、多くは大学に卒業後の進路を伝えていないだけという不詳の方として、やはり民間就職市場に身を置いているものとみなしました。
 その結果は下図のとおりです。大学全体では77.3%が「民間就職等」ということで、民間就職市場の、いわゆる就活をする層となっています(家業継承や起業家などで就活と無関係な方も含みはしますが)。私立大学では約85%が「民間就職等」と高い割合になっています。
 これに対して、国立大学では「民間就職等」が45.6%であり、学部卒業生の半分未満となっています。文系が圧倒的に多い私立と違い国立では理系の学生が多いことから全体の大学院への進学率が高いこともありますし、教員採用試験や公務員採用試験などを目指す学生も多いことがあるでしょう。もちろん同じ国立大学でも学部構成や校風などで違いがあるでしょうが、民間企業就職を目指す層が相対的に薄いといえます。そのことが就活の「出遅れ」に繋がり易い可能性があります。
 つまり、院試や国試、教員・公務員の採用試験も卒業年度の4年生になって本番を迎えます。過半数がそういう4年生で将来を決するような中では、民間就職の学生も「4年生になってから」感が国立大が強くなりやすいのではないでしょうか。
 しかし、私立大学、特に大都市部の私立大学は違います。特に、2018年に経団連が「採用選考に関する指針」いわゆる就職協定を廃止することを発表したあとの現在、2020年まではこの紳士協定は生きているのにも関わらず、事実上企業側の「やりたい放題」の採用活用となっています。いや、それ以前から実際にはなし崩し的ではありましたが…。その中で、就職活動は「インターンシップ活動」を介しながら、既に大学3年生の夏から、あるいはもっと前から囲い込みが行われてきています。それに対して、都会の有力私立大学では学生のみならず、大学当局も積極的にそれに対応してきています。
 国立大学、特に地方国立大学の「4年生から」と都会の有力私立の「3年生には、もう」という雰囲気の差は、当然就活への取り組みも違ってくるでしょう。
shinro-kousei2-2019kakutei.png ただ、「大学3年生の夏から」ってのは、本当にいいことなんでしょうかね?
 多くの大学では専門の教育は3年生からが主です。ようやくゼミや研究室が決まるとこも多いでしょう。
 まだ「何者でもない」彼らを早々に取り込んで、いったい何をみるのでしょうかね。
 もし、大学の看板だけで採りたいのなら、ターゲットの大学への新入生対象に自社の長期アルバイトや入社前提の奨学金などを明示して最初から集めればいい。3年生でインターンで囲い込み、下手すりゃ長期無償労働させて、って、いったい大学で学ぶ意味がないじゃないですか。そんなんで教育を妨害されるなら、学費や生活費を出している保護者が損害賠償請求してもいいくらいだ、とさえ思います。
 将来をかけて優良企業に入るため学生側が焦るのも分かりますが、企業側も学生側や採用支援会社などに踊らされて採用を焦り過ぎてはいませんか? 企業も焦って、煽る相手に迎合しているんじゃないかと察するものです。

 なお、上記のとおり国立大学学部卒業生の過半数が就活市場に現れない結果、学部卒業者総数では全体の17.4%を国立大卒が占めているものの、民間就職等に限ればさらに少なく10.3%と1割程度になります。都会・地方などの地域に関係なく民間企業の就活現場で国立大学生の影が薄いわけです。
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【参考】「民間就職等」から「その他」を分けた場合の図
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