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zoom RSS 科研費と共同研究費・受託研究費の相関 (2)民間

<<   作成日時 : 2015/02/22 21:15   >>

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 先に示した官民合計での共同研究費+受託研究費と科研費との相関に続き、ここでは民間との共同研究費及び民間からの受託研究費科研費との相関について見てみます。
 先と同様に、原点を通る線形回帰直線で相関をみると、決定係数(R2)が0.9059、つまり相関係数(R)が0.9518となり、官民合計の場合ほどではないにしても、やはり科研費配分額と共同研究費+受託研究費の民間受入額とは高い相関となっています。

科研費(科学研究費補助金)配分額と、共同研究費+受託研究費受入額(民間分)との各大学のプロット図
画像

 科研費をx、民間分の共同研究費+受託研究費をyとした場合の相関式は、y=0.2202x。つまり、科研費100万円取れている大学は、22万円程度の共同研究費+受託研究費を受け入れている傾向ということです。
 ちなみに対象とした779大学への5ヵ年間の年平均額の総額は、科研費は178,280百万円/年、民間分の共同研究費+受託研究費は42,946百万円/年ですので、(共同研究費+受託研究費)÷科研費では0.2409倍となり、相関式の0.2202倍のほうが低くなっています。科研費の配分額の非常に大きな東京大学が、国・地方自治体・公益法人などの非民間からの受け入れが大きい一方で相対的に民間の受入額が低いせいか、全体の傾向値を押し下げることになっているかと思われます。

 さらに、これも先と同じく軸を対数にしてプロットもしてみました。科研費も共同研究費+受託研究費もともに5ヵ年間で実績のある(正の数値を持つ)対象大学数は480大学です。

科研費(科学研究費補助金)配分額と、共同研究費+受託研究費受入額(民間分)との各大学のプロット図(両対数軸)
画像


 対象となるデータは減りましたが、相関式は全体とほぼいっしょのy=0.2202x。決定係数はわずかに下がったものの0.9038で、相関係数は0.9507と依然として高い相関となっています。
 先の官民合計よりは下位でも相関式から求められる傾向線の上下にプロットされていますが、それでも科研費の配分額が下位になればなるほど、相関式から求められる傾向線よりも下にプロットされる大学が増えるというのは変わりないかと思います。
 つまり、科研費の取れていない大学は、その傾向以上にやはり民間受入額でも共同研究費+受託研究費も取れていないということです。

 さて、さらに、ここで得られた相関式y=0.2202xに科研費配分額(x)を代入して得られる想定傾向値と、共同研究費+受託研究費の民間受入額の実績値との差を求めてみました。
 実績値−想定傾向値の算出結果です。つまり、「科研費の獲得実績規模からすると、これぐらいの共同研究費+受託研究費の民間受け入れが規模相応」という傾向値よりの多少をみてみました。
 下記の大学のリストから感じられるのは、理工系が強い大学は想定傾向値よりも高い実績値となっており、文系や医療系が強い大学は想定傾向値よりも低い実績値となっている傾向が見受けられるということです。
 これは、産学連携となると、やはりメーカーなどの技術開発で産学連携が進んでいるということでしょう。一方で、文系はそこまで企業側から開発が求められる場面が少ないこと、医療系は文科省の他に厚生労働省の科研費研究などもあり手一杯や病院事業からの収益で賄えるなどの事情もあるのでしょう。 

【民間受入分の共同研究費+受託研究費の実績値が相関式からの想定傾向値よりも多額な大学(上位100大学)】
( )内単位:百万円/年、凡例=●:国立、▲:公立、私立は無印

1位:慶應義塾大学(+1,575)
2位:●京都大学(+898)
3位:●名古屋工業大学(+405)
4位:早稲田大学(+390)
5位:●東京工業大学(+384)
6位:東京理科大学(+347)
7位:●三重大学(+307)
8位:●大阪大学(+242)
9位:●東京農工大学(+227)
10位:明治大学(+174)
11位:国際大学(+168)
12位:●山形大学(+163)
13位:▲大阪府立大学(+159)
14位:●長岡技術科学大学(+158)
15位:●九州大学(+148)
16位:●信州大学(+146)
17位:●九州工業大学(+144)
18位:芝浦工業大学(+134)
19位:東京都市大学(+133)
20位:中部大学(+132)
21位:久留米大学(+127)
22位:豊田工業大学(+126)
23位:東海大学(+125)
24位:●東北大学(+125)
25位:金沢工業大学(+110)
26位:産業医科大学(+92)
27位:●岐阜大学(+91)
28位:近畿大学(+89)
29位:光産業創成大学院大学(+87)
30位:●神戸大学(+87)
31位:●徳島大学(+85)
32位:●東京海洋大学(+80)
33位:東京女子医科大学(+78)
34位:●室蘭工業大学(+75)
35位:●横浜国立大学(+74)
36位:●山口大学(+68)
37位:●京都工芸繊維大学(+64)
38位:北里大学(+61)
39位:●佐賀大学(+58)
40位:●豊橋技術科学大学(+57)
41位:▲岐阜薬科大学(+56)
42位:千葉工業大学(+55)
43位:立命館大学(+53)
44位:日本大学(+52)
45位:▲京都府立医科大学(+52)
46位:●岩手大学(+48)
47位:中央大学(+46)
48位:●電気通信大学(+46)
49位:酪農学園大学(+43)
50位:工学院大学(+42)
51位:関東学院大学(+42)
52位:●鳥取大学(+40)
53位:関西大学(+38)
54位:東邦大学(+36)
55位:東京電機大学(+36)
56位:大阪工業大学(+35)
57位:新潟薬科大学(+35)
58位:▲北九州市立大学(+34)
59位:●宮崎大学(+34)
60位:神奈川工科大学(+31)
61位:▲富山県立大学(+30)
62位:●宇都宮大学(+30)
63位:東京医科大学(+29)
64位:福岡大学(+26)
65位:大同大学(+25)
66位:北海道情報大学(+25)
67位:●北陸先端科学技術大学院大学(+24)
68位:広島工業大学(+23)
69位:名城大学(+23)
70位:長崎総合科学大学(+22)
71位:拓殖大学(+22)
72位:藤田保健衛生大学(+21)
73位:●北見工業大学(+21)
74位:●帯広畜産大学(+20)
75位:京都薬科大学(+20)
76位:静岡理工科大学(+18)
77位:聖マリアンナ医科大学(+17)
78位:東京工科大学(+17)
79位:●滋賀医科大学(+16)
80位:愛知工業大学(+16)
81位:関西学院大学(+16)
82位:女子栄養大学(+15)
83位:●香川大学(+15)
84位:東京工芸大学(+15)
85位:関西医科大学(+14)
86位:▲滋賀県立大学(+14)
87位:麻布大学(+13)
88位:東京農業大学(+13)
89位:多摩大学(+12)
90位:▲静岡県立大学(+12)
91位:日本獣医生命科学大学(+12)
92位:星薬科大学(+12)
93位:八戸工業大学(+11)
94位:●山梨大学(+11)
95位:成蹊大学(+11)
96位:明星大学(+11)
97位:城西大学(+11)
98位:●福井大学(+11)
99位:足利工業大学(+10)
100位:▲金沢美術工芸大学(+10)


【民間受入分の共同研究費+受託研究費の実績値が相関式からの想定傾向値よりも少額な大学(上位100大学)】
( )内単位:百万円/年、凡例=●:国立、▲:公立、私立は無印

1位:●東京大学(-841)
2位:●北海道大学(-534)
3位:●筑波大学(-415)
4位:●東京医科歯科大学(-245)
5位:●名古屋大学(-213)
6位:●一橋大学(-150)
7位:●新潟大学(-144)
8位:●奈良先端科学技術大学院大学(-141)
9位:●岡山大学(-126)
10位:●金沢大学(-103)
11位:●広島大学(-101)
12位:●長崎大学(-100)
13位:●愛媛大学(-99)
14位:順天堂大学(-89)
15位:●東京外国語大学(-75)
16位:▲名古屋市立大学(-62)
17位:立教大学(-61)
18位:●弘前大学(-61)
19位:学習院大学(-58)
20位:●熊本大学(-53)
21位:兵庫医科大学(-40)
22位:法政大学(-39)
23位:▲首都大学東京(-39)
24位:京都産業大学(-39)
25位:●お茶の水女子大学(-39)
26位:●奈良女子大学(-38)
27位:●千葉大学(-34)
28位:●東京学芸大学(-33)
29位:●鳴門教育大学(-33)
30位:●埼玉大学(-31)
31位:▲横浜市立大学(-31)
32位:●大阪教育大学(-30)
33位:●総合研究大学院大学(-29)
34位:玉川大学(-28)
35位:愛知学院大学(-28)
36位:東洋大学(-27)
37位:日本医科大学(-26)
38位:●北海道教育大学(-26)
39位:松本歯科大学(-26)
40位:●高知大学(-25)
41位:●浜松医科大学(-25)
42位:▲九州歯科大学(-24)
43位:大阪医科大学(-24)
44位:放送大学(-23)
45位:徳島文理大学(-23)
46位:▲札幌医科大学(-22)
47位:▲愛知県立大学(-21)
48位:専修大学(-21)
49位:●群馬大学(-21)
50位:龍谷大学(-21)
51位:●愛知教育大学(-20)
52位:日本女子大学(-20)
53位:●茨城大学(-20)
54位:●鹿児島大学(-19)
55位:北海道医療大学(-19)
56位:青山学院大学(-19)
57位:福岡歯科大学(-19)
58位:●政策研究大学院大学(-19)
59位:聖路加国際大学(-18)
60位:日本福祉大学(-18)
61位:●島根大学(-18)
62位:●筑波技術大学(-17)
63位:●滋賀大学(-17)
64位:神奈川歯科大学(-16)
65位:大阪歯科大学(-15)
66位:●兵庫教育大学(-15)
67位:明治学院大学(-15)
68位:▲和歌山県立医科大学(-15)
69位:南山大学(-14)
70位:▲奈良県立医科大学(-14)
71位:●和歌山大学(-14)
72位:国際基督教大学(-14)
73位:鶴見大学(-14)
74位:▲高知県立大学(-14)
75位:明海大学(-14)
76位:●富山大学(-14)
77位:●宮城教育大学(-14)
78位:神戸薬科大学(-14)
79位:●東京藝術大学(-13)
80位:大東文化大学(-13)
81位:●京都教育大学(-13)
82位:▲埼玉県立大学(-13)
83位:●福岡教育大学(-12)
84位:●上越教育大学(-12)
85位:桜美林大学(-12)
86位:駒澤大学(-11)
87位:成城大学(-11)
88位:東京薬科大学(-11)
89位:金城学院大学(-11)
90位:武蔵大学(-11)
91位:摂南大学(-11)
92位:中京大学(-11)
93位:京都女子大学(-11)
94位:佛教大学(-11)
95位:▲福岡県立大学(-10)
96位:創価大学(-10)
97位:日本赤十字看護大学(-10)
98位:国士舘大学(-10)
99位:國學院大學(-10)
100位:同志社大学(-10)

注)小数点以下四捨五入 (但し、順位には小数点以下も反映)


<私の思うこと 〜大学をG型・L型に区分できるのか?〜>
 今回の集計から、上記したように理工系と文系・医療系で科研費とで民間からの受入額の傾向の違いがあり、大学ごとの特徴が出ていることに触れました。
 しかし、それよりも注視したいのが、科研費配分額と共同研究費・受託研究費受入額の間に極めて高い相関があるということです。官需でも民需でもその傾向が分からないことは示したとおりです。
 科研費というのは研究者が研究しなければならないと考えるテーマへの補助金。まさに「研究」のための資金です。
 一方で、特に民間との共同研究費・受託研究費は、企業などが新規のビジネスチャンスのために行う「開発」のための資金です。
 もちろん、企業の中には「商売になるかどうかは分からないけど夢のため」って場合や、研究者の中には「これを発明すれば世界のビジネスが動くぞ!」と取り組むテーマのあるでしょうから、必ずしも二分化されないものかもしれません。でも、大枠としては「研究」と「開発」の二手であるとは思います。
 しかし、だからといって現在の資金獲得状況をみると二手に分かれていません。(競争的資金を確保するといった)積極的に研究を促進している大学に、企業は製品開発・技術開発を求めているのです。
 「うちは研究のみ」「うちは開発のみ」なんて大学は稀で、そんな特化大学には企業が殺到しているわけではないのです。
 もちろん、両者の相関はイコール因果関係とはいえません。そもそも各大学の理工系の規模による結果という仮説等も成り立ちます。このあたりは更なる検証が必要でしょうが、データ集めだけで大変なので、当ブログでは現時点でそこまではなきません。しかしそれでもなお、規模が大きくなるというのは各大学だけの財力でできるものではなく、支持があるからという背景も無視しえないのではないかと、と考えます。

 さて、昨年(2014年)9月に(株)経営共創基盤なるところのCEOである冨山和彦が安倍首相に説明し、文科省の「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」でもブチ上げた「大学のG型・L型への二分化」という資料があります。
 多数ある大学を、グローバルに対応したG型とローカルに対応したL型に区分するというもので、L型は職業訓練的な大学にしようというものです。
 この提案に賛否様々出ていますが、当ブログ筆者の私としては「お門違いだろう」というのが意見です。
 
 もし、冨山が示すような二分化が社会や経済・産業から希求されているのなら、先に示した相関は正ではなく、負になっていなければおかしいと私は思います。
 つまり、民需に対応した開発大学と、純粋な研究に特化した大学とで、資金の確保先が異なり、その結果、頭上では左上から右下に相関が認められる傾向線が出るプロット図となるはずです。本当に必要なら、私立大学などはとっくにそういうほうに舵を切っているでしょう。あるいは国際大学光産業創生大学院大学など専門的な大学院大学はもしかしたらそういう方向なのかもしれませんが、そういった存在は極めて稀だからこそ傾向に現れません。それは旧帝国大学以外の科研費下位層の大学群においても、両対数軸のグラフから読めるようにそういった傾向には至っておりません。提案されるような分化が主流になるのでしょうか? 私にはそうは思えません。
 なぜなら、最先端研究も基礎教育も、分化ではなく融合こそがこれから大切だからです。
 冨山の提案では、研究とか開発とか云々ではなく、ともかくL型大学の学生に学ばせることは職業に直結する能力だという内容です。
 今使える技術だけ学んで、あとは何年もつの?
 そんなことで日本がもつのか?
 若い人にこそ、先々に至って時代が変わっても柔軟に考えられる知性が求められるのに。
 決して大学生に大型トラックの免許を取らせることや、工作機械の実地的使い方を学べせることに反対するものではありません。しかし、必要なのは、そういったものと科学的知性をどう結び付けさせるかでしょう。
 いざ就職して大型トラックのドライバーをやるとなっても、「よりよい物流」「よりよい労働環境」を作るためにいかに会社や業界を改善していくかまで視野に入れて働ける知性が必要なんです。ドライバーたちの苦労を分かりながら、それを高いレベルに昇華できる頭が必要なんです。
 そうでないと、日本の生産性だって上がりませんぞ。今にかまけてたら、なんの拡大にもならない。
 将来にわたって使える知性を放棄させられた若者が、使い捨てにされるだけ。
 いや、そうなって欲しいんですよね?>冨山さん。 「これは専門学校のことだ」と後付しても出したものは出したものですからね。
 ま、もっともこれは決して冨山が勝手に言い出したことえはないですよね。
 そもそも、安倍が2014年5月6日のOECD閣僚理事会の基調演説で「私は、教育改革を進めています。学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う」と言い出したことが端緒でしょう。
 そして、冨山の提案からほどなく、12月には文部科学省から国立大学を「世界最高水準教育研究」「特定分野で世界的な教育研究」「地域活性化中核」という3分類発表されましたね。この「世界最高」と「地域活性化」というのはどうみてもG型とL型ですよね。民間有識者の意見が、こんなに速攻で反映されるなんて有り得ないですよね。
 結局、冨山というのは、政権と政府の太鼓持ちであり、意に即して踊らされているだけの操り人形だということでしょう。

 「大学を二分化しても、それに企業も社会も魅力を感じない」。それが民需の開発と研究との資金面から分析した仮説です。
 大学を分化させる意味は、エリートコースに乗れなかった若者を使い捨てにしたいだけ。GとLをGlobal型とLocal型だというけど、内実はGovernor(統治者)型とLaborer(労働者)型でしょ>特権階級の逃げ切りを図りたい富裕層&高級官僚&自民党諸君。反知性的な総理を頂いたことが幸いだったのでしょう、彼らには。

 「こんな大雑把な数字で大言壮語するなど、無理矢理すぎるわ!」という批判もあるでしょう。
それに対して胸を張っていいます。
「うちのはその程度のブログだ!w」

ただ、理性的・定量的議論のための分析・検討の端緒になれば、とは思っています。

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各大学の母体となる高等教育機関
 今年、戦後70年を迎えます。そして戦後の学制改革から66年が経とうとしています。  この間、大学を巡る状況は様々変わってきました。  しかし、国立大学を中心にその序列というのは大きく変わりません。3年前の某高等学校長のブログなどでもその堅牢さが言われています。  最近は、研究大学強化促進事業やスーパーグローバル大学創成支援など、従来の序列の枠組みを壊すような長期の大規模な補助事業等も行われていますが、東京大学を頂点としたこの構造が、そう壊れるものではありません。  なぜ崩れづらい... ...続きを見る
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2015/06/07 23:59

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