島野清志『全日本★大学レーティング2021』の大学格付けに基づく序列と構成

 以前に記しましたように、長年『危ない大学・消える大学』シリーズを刊行されていました島野清志氏が同シリーズを終刊とされ、新たに昨年より同シリーズの内容を見直しされ電子出版にて『全日本★大学レーティング』と『きわめて危うい大学』との2シリーズで刊行を始められました。
 島野氏は新シリーズ刊行において、大学は「良い」「普通」「微妙」「論外」の4つに分類されるとしており、前者の『全日本★レーティング』では特に「良い」と「普通」にあたる大学を偏差値に当たる難易度から抽出して、さらに国家公務員総合職試験合格者数や司法試験合格者数、上場企業社長数・役員数など、いわゆる「出口」の実績をポイントとして積算して、「良い」をSAとA、「普通」をB1、B2、B3、という計5段階に格付けを行われている。一方、「微妙」と「論外」の大学については、大学としての選抜システムが最早機能していないと断じて、格付けする意味はないとされています。この純然たるFラン大扱いである「微妙」と「論外」の区分については、大学の継続性の観点から財務データをもとに後者の『きわめて危うい大学』にて検討されています。

 さて、このようなシリーズ化の中で本年度版の『全日本★大学レーティング2021』が刊行されました。
 データの性質上、そう大きく格付けが変動するわけではないのですが、今回は下図のとおり、SAが旧帝一工神のいわゆる国立難関10大学と横国、それに早慶+中央大学の14大学、Aは筑波やお茶女・東京外大の他、金岡千広、農繊名電などの上位国立大、東京都立や大阪市立・AIUといった上位公立大、上智・東京理大、中央以外のGMARCH、関関同立などの上位私大など42大学となっており、「良い」とされた大学は56大学となっています。さらに、B1は79大学、B2は121大学、B3は65大学とされていまして、「普通」の大学は265大学とされています。

 ところで、2020年現在、我が国には、通信制大学や大学院大学を除くと、いわゆる四年制大学といわれるものが777大学あります。上記の「良い」+「普通」の大学で計321大学となり、大学数全体の約41%を占めています。一方、大学数全体から「良い」「普通」の大学と医・歯・薬・獣医・芸術・体育の単科大学等の格付け対象外の大学などを除いた、「微妙」または「論外」の対象となる大学数は316大学となり、これまた構成比で約41%を占めており、「良い」+「普通」と「微妙」+「論外」とはほぼ同規模の大学数を占めていることとなります。
 ところが、2020年度の新入生数(≒大学1学年当たりの学生数)から構成比をみると、「良い」+「普通」で72.5%を占め、「微妙」+「論外」は19.3%に過ぎません。圧倒的に普通以上の大学の新入生数が多いのです。さらにSA+Aの「良い」大学だけでも新入生数の22.2%を占めています。つまり、『マー関以上の大学の学生を探すより、Fランの学生を探す方が難しい』という事態になっているのです。
 偏差値表をみると、下位に多数の大学名があって、まるで下に沢山の学生がいるかのような錯覚を覚えるわけですが、実際はFラン学生と言うのは少数派なことが見て取れます。卒業時の就活において大学間競争でFランが学歴フィルターで簡単に敗退してしまう背景が良く分かるかと思います。上位だけで十分詰まっているのです。

 改めて島野氏の格付けに目をやると、具体的なポイント付けの方法は同書を参照されたいのですが、例えば、理系評価軸では電気電子や機械、情報などの分野での出口評価が不足していると感じられることや、民間就職は社長・役員などの長期スパンなものに寄っていて、例えば『有名400社就職率』などの直近の傾向が加味されいない、格付け対象に看護・保健や教育を主とした大学があるものの看護師国試合格者や教員採用者などの出口評価が無いため低い評価に留まらざるをえないのではないか、などの出口の評価内容がもっと加味されるべきじゃないかと、思う所があります。また、入口と出口以外の中間、すなわち、教育環境や学生の研究成果発表やビジネスコンテスト等の戦歴といったものも加味されていません。
 もちろん、数値の把握の難しいこともあるのでないものねだりをしてもしょうがありません。それよりも、入口の偏差値だけに寄らずに出口評価も加えて双方を合算させて大学の価値を論じるという本書の取り組みは、限られた中ではあるものの、一定の意義があると思うところです。
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※上図新入生数は2020/7/25現在、2020年度学部新入生未発表の大学について2019年値を仮置きした暫定値。格付け序列ピラミッド図はhttps://jpnlogo.blog.fc2.com/による。

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