大学別「有名企業400社+公務員」実就職率(2019年卒)

 大学生が就職するにあたり、誰もが「いい就職先」に入りたいというのは当たり前なことです。何をもって「いい就職先」とするかの価値観はいろいろありますが、高給・安心・安定・将来性ってことから有名企業・大手企業が志向されやすいものです。そういった先への就職実績の目安によく見られるのが大学通信が調査している「有名企業400社の実就職率」です。その2019年卒の結果の一部が東洋経済オンライン『最新!「有名企業への就職率が高い大学」TOP200』(2019/09/07配信記事)として公表されています。
 しかし、大学生への意向調査などでは、公務員への意向も高く、主要民間企業とともに公務員も併せて評価しないと学生の希望を反映した実績にならないかと思うわけです。
 そこで、上記の東洋経済記事に掲載された「有名企業400社の実就職率」の上位200大学について、公務員就職の実績を加えます。ただ、上位200大学といっても、入っていそうなお茶の水女子大学などは載っておらず、データ非公開なのか、主要な大学でも算出対象になっていない場合もあるかと見られます。また、就職に強いと定評の慶應義塾大学についても「3名以上就職先のみ公開」のため上位200大学の対象外となっています。上記記事によると公開されている「3名以上就職先のみ」で慶応の[有名企業400社就職者数÷(卒業生数-大学院進学者数)]を集計すると41%に及ぶとのことです。
 なお、「有名企業400社の実就職率」掲載の200大学のうち約半数の98大学は大学院修了者も含むと言う事で、データの統一性において悩ましいところです。特に工学系などは大きく左右されるかと思います。ですが、他に代わりようもないため、そのまま使わせて頂きました。公務員就職者数については螢雪時代編集部『2020年度用 大学の真の実力 情報公開BOOK』旺文社(2019年9月)をもとにした当ブログの「大学学部新卒の公務員就職者数(2019年3月卒)」に拠っておりまして、こちらは大学院修了者を含まない2019年学部卒業者のみの値です。

 ところで、「有名企業400社の実就職率」では上記に触れたとおり[有名企業400社就職者数÷(卒業生数-大学院進学者数)]という計算で実就職率を求めています。民間就職や公務員就職では誰に対しても門戸が開かれています、少なくとも建前上は。しかし、職種によっては大学で特定の課程や単位を取らねば就けないものもあります。最たるものは医師・歯科医師などです。これら職種の卒業生は臨床研修医として次のステップに進むため公開の就活市場には現れません。設置されている大学も限定されるため、この層を上記計算式の分母に含むか否かは微妙に影響を与えるところです。そこで、ここでは大学院進学者と同様に各大学の卒業生数から減算することにしました。
 教員(教師)についても同様に、大学で教員資格のための講座が開かれていて必要な単位を得ねば教員免状を得れません。教員養成課程を学部単位で持つような大学では教員志望が多く、教員採用試験優先で就活市場とは違う動向となります。そこで教員就職者についても分母から減算しました。
 本来なら、薬剤師や看護師の病院就職、獣医師の世襲、資格を取って士業で早々に独立といったあたりの方々も除きたいのですが、そのようなデータもないため、結果的にここでは以下のような設定で「有名企業400社+公務員」実就職率を算出しました。

「有名企業400社+公務員」実就職率=(有名企業400社就職者数+公務員就職者数)÷(卒業者数-大学院進学者数-臨床研修医数-教員就職者数)

 算出結果をランキング化したのが以下です。なお、傾向をみるのに1人の動静が%を大きく左右するような小規模大学は評価が難しいため、卒業生数が100人未満の大学をランキングの対象外としました。

【「有名企業400社+公務員」実就職率(2019年卒)】
●:国立大学、▲:公立大学、○:私立大学
( )内は「有名企業400社+公務員」実就職率=(有名企業400社就職者数+公務員就職者数)÷(卒業者数-大学院進学者数-臨床研修医数-教員就職者数)

1位:●一橋大学(58.9%)
2位:●東京工業大学(57.5%)*
3位:▲国際教養大学(47.6%)
4位:○東京理科大学(43.2%)*
5位:●名古屋工業大学(42.2%)*
6位:○早稲田大学(40.9%)*
7位:●名古屋大学(40.1%)*
8位:●大阪大学(39.9%)*
9位:●電気通信大学(39.3%)*
10位:●九州工業大学(38.7%)*
11位:●小樽商科大学(38.4%)
12位:●東京外国語大学(38.2%)
13位:●横浜国立大学(38.1%)*
14位:●神戸大学(37.8%)*
15位:●東北大学(37.5%)*
16位:○上智大学(37.4%)*
17位:○同志社大学(36.6%)*
18位:●京都工芸繊維大学(35.7%)*
19位:○明治大学(35.4%)*
20位:▲大阪市立大学(35.1%)*
21位:○芝浦工業大学(34.7%)*
22位:○豊田工業大学(34.7%)*
23位:●京都大学(34.3%)*
24位:●鹿屋体育大学(33.8%)
25位:○青山学院大学(33.4%)
26位:▲大阪府立大学(33.3%)*
27位:●豊橋技術科学大学(32.4%)*
28位:●岡山大学(32.3%)*
29位:●九州大学(32.3%)*
30位:○関西学院大学(32.2%)*
31位:●北海道大学(31.8%)*
32位:○中央大学(31.8%)*
33位:○立教大学(31.7%)
34位:▲京都府立大学(31.1%)
35位:●東京大学(30.7%)*
36位:○立命館大学(30.6%)*
37位:●千葉大学(29.9%)*
38位:●福島大学(29.8%)
39位:●静岡大学(29.8%)*
40位:●東京農工大学(29.5%)*
41位:●熊本大学(29.4%)*
42位:●岩手大学(29.3%)*
43位:●宇都宮大学(29.2%)
44位:▲東京都立大学(29.1%)*
45位:●滋賀大学(29.0%)
46位:●長崎大学(28.9%)*
47位:○津田塾大学(28.7%)
48位:○国際基督教大学(28.7%)
49位:○日本女子大学(28.4%)
50位:▲名古屋市立大学(28.3%)
51位:○学習院大学(28.2%)
52位:○東京女子大学(27.6%)
53位:●広島大学(27.6%)*
54位:○法政大学(27.3%)*
55位:●金沢大学(26.6%)*
56位:○東京都市大学(26.3%)*
57位:●新潟大学(26.2%)*
58位:●奈良女子大学(26.2%)*
59位:●信州大学(26.1%)*
60位:●長岡技術科学大学(26.1%)*
61位:●岐阜大学(25.7%)*
62位:○学習院女子大学(25.0%)
63位:○関西大学(24.9%)*
64位:○南山大学(24.8%)*
65位:○白百合女子大学(24.8%)
66位:●山口大学(24.5%)*
67位:●島根大学(24.3%)
68位:●山梨大学(24.3%)
69位:○聖心女子大学(24.2%)
70位:▲神戸市外国語大学(24.2%)
71位:●埼玉大学(24.1%)*
72位:●香川大学(24.0%)*
73位:●秋田大学(24.0%)*
74位:●愛媛大学(23.8%)
75位:●北見工業大学(23.8%)*
76位:●三重大学(23.7%)*
77位:●和歌山大学(23.4%)*
78位:●筑波大学(23.2%)*
79位:○西南学院大学(23.1%)
80位:●山形大学(22.9%)*
81位:●群馬大学(22.8%)*
82位:●大分大学(22.7%)*
83位:○成蹊大学(22.7%)*
84位:▲横浜市立大学(22.4%)*
85位:▲北九州市立大学(22.3%)
86位:●鹿児島大学(22.1%)*
87位:○北海学園大学(21.7%)
88位:○中京大学(21.2%)
89位:●宮崎大学(21.1%)*
90位:○愛知大学(21.1%)
91位:●徳島大学(20.9%)*
92位:○成城大学(20.8%)*
93位:▲高崎経済大学(20.4%)
94位:▲兵庫県立大学(20.3%)
95位:●茨城大学(20.2%)*
96位:●佐賀大学(19.8%)*
97位:▲滋賀県立大学(19.8%)*
98位:○京都女子大学(19.7%)
99位:▲釧路公立大学(19.7%)
100位:○明治学院大学(19.6%)
101位:●室蘭工業大学(19.6%)*
102位:○東北学院大学(19.5%)*
103位:▲愛知県立大学(19.4%)*
104位:○昭和女子大学(19.4%)
105位:○富士大学(19.1%)
106位:○藤女子大学(18.9%)
107位:○工学院大学(18.7%)*
108位:●東京海洋大学(18.6%)*
109位:○東京電機大学(18.6%)*
110位:○清和大学(17.9%)
111位:●福井大学(17.7%)*
112位:▲公立鳥取環境大学(17.7%)
113位:▲福岡女子大学(17.6%)
114位:○フェリス女学院大学(17.6%)
115位:▲岩手県立大学(17.6%)*
116位:●富山大学(17.1%)*
117位:○武蔵大学(17.0%)
118位:▲下関市立大学(16.9%)
119位:○大阪工業大学(16.7%)*
120位:○北星学園大学(16.1%)
121位:▲公立はこだて未来大学(16.1%)*
122位:○日本大学(15.6%)
123位:○國學院大學(15.5%)
124位:○京都薬科大学(15.5%)
125位:○神戸女学院大学(15.4%)
126位:▲高知工科大学(15.2%)*
127位:○金城学院大学(15.1%)
128位:○名城大学(15.0%)
129位:▲秋田県立大学(14.9%)*
130位:○創価大学(14.9%)*
131位:○京都産業大学(14.8%)
132位:○金沢工業大学(14.8%)*
133位:○同志社女子大学(14.7%)
134位:○龍谷大学(14.6%)
135位:○東洋大学(14.2%)
136位:○広島修道大学(13.8%)
137位:○甲南大学(13.8%)
138位:○獨協大学(13.7%)
139位:○専修大学(13.6%)
140位:▲静岡県立大学(13.6%)*
141位:○福岡大学(13.5%)
142位:○第一工業大学(13.5%)
143位:○近畿大学(13.4%)*
144位:▲前橋工科大学(13.0%)*
145位:○共立女子大学(13.0%)
146位:○駒澤大学(12.9%)
147位:○名古屋外国語大学(12.6%)
148位:○熊本学園大学(12.6%)
149位:▲会津大学(12.4%)*
150位:○大妻女子大学(12.3%)
151位:○神奈川大学(12.1%)*
152位:○千葉工業大学(12.1%)*
153位:○広島工業大学(11.9%)*
154位:○椙山女学園大学(11.8%)
155位:○東京農業大学(11.7%)
156位:○東海大学(11.5%)
157位:○立命館アジア太平洋大学(11.4%)*
158位:▲県立広島大学(11.0%)
159位:○北海道文教大学(11.0%)
160位:▲広島市立大学(10.9%)
161位:○東洋英和女学院大学(10.8%)
162位:○ノートルダム清心女子大学(10.7%)
163位:▲新潟県立大学(10.6%)*
164位:○武庫川女子大学(10.6%)
165位:○跡見学園女子大学(10.4%)
166位:○神田外語大学(10.1%)
167位:○関西外国語大学(9.9%)
168位:○清泉女子大学(9.9%)*
169位:○宮城学院女子大学(9.8%)
170位:○愛知淑徳大学(9.7%)
171位:○武蔵野大学(9.7%)*
172位:○実践女子大学(9.6%)
173位:○福岡女学院大学(9.6%)
174位:○東京経済大学(9.6%)
175位:○亜細亜大学(9.5%)
176位:▲宮崎公立大学(9.5%)
177位:○愛知工業大学(9.4%)
178位:○甲南女子大学(9.2%)
179位:○玉川大学(9.0%)
180位:○安田女子大学(8.9%)
181位:○神戸松蔭女子学院大学(8.9%)
182位:○摂南大学(8.6%)*
183位:○拓殖大学(8.6%)
184位:○京都外国語大学(8.3%)
185位:○明海大学(8.0%)
186位:○福岡工業大学(7.9%)
187位:○尚絅学院大学(7.7%)
188位:○東京薬科大学(7.3%)*
189位:○東北工業大学(7.2%)*
190位:○京都ノートルダム女子大学(7.1%)*
191位:○埼玉工業大学(6.8%)
192位:○多摩美術大学(6.8%)*
193位:○産業能率大学(6.5%)
194位:○相模女子大学(6.4%)
195位:○阪南大学(6.3%)
196位:○愛知工科大学(6.3%)
197位:○大阪女学院大学(6.3%)
198位:○武蔵野美術大学(5.9%)*
注1)掲載大学は、東洋経済オンライン『最新!「有名企業への就職率が高い大学」TOP200』(2019/09/07配信記事)での掲載大学のみ。さらに、卒業生数100人未満の小規模大学をランキング対象から除外した。
注2)お茶の水女子大学など主要な大学でもデータ非開示があるとみられ、上記記事に掲載されない大学もある。慶應義塾大学についても「3名以上就職先のみ公開」のため掲載されていないが、上記記事によるとその範囲で[有名企業400社就職者数÷(卒業生数-大学院進学者数)]を集計すると41%に及ぶとのこと。
注3)大学名末尾の*印は、有名企業400社就職者数・卒業生数・大学院進学者数に大学院修了者を含むもの。公務員就職者数・臨床研修医数・教員就職者数はいずれの大学も学部卒業者のみ。
資料)
有名企業400社就職者数・卒業生数・大学院進学者数:東洋経済オンライン『最新!「有名企業への就職率が高い大学」TOP200』(2019/09/07配信記事)より。
公務員就職者数・臨床研修医数・教員就職者数:螢雪時代編集部『大学の真の実力 情報公開BOOK 2020年度用』旺文社(2019年9月)と、それをもとにした当ブログの「大学学部新卒の公務員就職者数(2019年3月卒)」、「大学学部新卒の教員就職者数(2019年3月卒)」より。


 この結果をみると、一橋と東工が両巨頭で50%を超えました。
 上記のランキングに記した198大学合計での有名企業400社就職者数は58,617人、公務員就職者数は18,683人のため、全体的には有名企業400社就職者のほうの傾向が強く反映されおり、東洋経済記事での「理系大の就職率高い」という傾向そのままに東京理大、名工大、電通大、九工大などの理系大学がベスト10に入っています。一方で国際系の公立大学であるAIU(国際教養大)も高率で3位に入り、同じく国際系の東京外大も12位となっています。
 私立大学では東京理大がトップで次いで早大となっています。ただし、上述のとおり、掲載外の慶応が就職者数1~2人の企業分を除いて41%、学部生の卒業者全体での公務員就職者率も2.4%あるので、恐らくは慶応が実質的に私大トップないしは少なくとも理大に並ぶ位置にあるのではないかと推察されます。
 公務員への実就職率を加えたことで上位に入ったは小樽商大で11位となっています。有名企業400社の本社立地が首都圏等大都市部に集中しているとみられることから、就活でのアプローチがしやすい大都市部の大学で有名企業400社への実就職率が高めとなっている印象があります。それに対して、地方の、特に地方国立大学では、その分を穴埋めするかのように高い公務員実就職率となっている感があります。結果として、「有名企業400社+公務員」としたことでGMARCH・関関同立などの大都市私立大学に対して、勝つことはなくとも大きく離されない程度の実就職率になっている地方国立大学が少なくないという状況が把握できました。また、東洋経済の記事で「有名企業400社の実就職率」の上位200大学に掲載されなかった地方国立大学でも、以前に記した公務員就職率で帯広畜産大学、弘前大学、琉球大学、高知大学、鳥取大学などは10%を超えており、上記のランキング内に絡める可能性があるかとみられます。
 国立の難関大学群で旧帝大については、名大がトップ、続いて阪大となっています。他方で、最難関とされる東大・京大については、東大が30.7%で35位、京大が34.3%で23位に留まっており、大学の知名度に比すると相対的には高いとはいえない位置にあります。東洋経済の記事では東大の低さは「国家公務員になる卒業生も多く、有名企業への就職者が伸びないこともあるよう」とされてますが、学部卒での公務員就職率をしても低く、むしろ「東大生の官僚離れ」を現している感があります。多分、東大・京大などでは、そもそも大学院修了後に大学教員や研究者として大学に残ったり研究機関などに就職する人が少なくないのでしょう。また、海外での研究・就職もあるでしょうし、外資やコンサルタントファームなどの国内の有名企業・大手企業の枠に入らない就職先を選ぶ人も多いかと考えられます。さらには、大学ベンチャーや学外での起業など、アグレッシッブな進路選択も増えてきています。東大・京大などの上位大学でそのような先鋭な動き、大企業や官庁などへの悪く言えば「寄らば大樹の陰」的な就職からの脱却が進んでいるのかもしれません。
 いや、東大・京大でなくとも、医師や教師といった専門職を除いての「有名企業400社+公務員」の実就職率でトップの一橋・東工でさえ半分ちょっと。他は過半数がそういう所に入っていません。それが普通なわけです。自分で事業を興すもよし、NPOとして社会的に働くもよし、伝統的な中小企業を大きくするもよし、何でもよし。冒頭に書いた「いい就職先」は人によって異なります。ともかく、大きいものに頼らずとも自らの力で生き抜ける知恵をもつのが、大学を出る意味だと思います。
 「有名企業400社+公務員」は大学を選ぶ上での一つの指標にはなるでしょうが、大学を出る時はそれに呪縛されずに進路を拓いて頂ければと思うところです。
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