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zoom RSS 私大の一般入試募集人員数は「見せ金」なのか?〜文科省『入学者選抜実施状況』より〜

<<   作成日時 : 2018/01/01 19:45   >>

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 新年あけましておめでとうございます。
 さて、新年一発目の話題なんですが、結局新しい話ではなく、昨年末の前回記した文部科学省『入学者選抜実施状況』を元にした数値の続きです。
 前回は、募集人員→志願者数→受験者数→合格者数→入学者数の順に数値を追いましたが、ここでは、そのうちの頭とお尻、つまり募集人員と入学者数の関係=募集人員充足率(=入学定員充足率)について見てみたいと思います。
 入学者数÷募集人員で求められる募集人員充足率について、試験種合計で見ると、国公私立大学とも2010年〜2017年の間では、募集人員に対し、103%〜107%の範囲で収まっています。直近では公立がやや高めで106%台、国立と私立が103%という水準で低下傾向です。つまり、大学全体としては、定員割れではなく、また過剰な定員超過にもなっていないというところです。
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 ところが、一般入試に絞って募集人員充足率をみると、様相が変わってきます。
 一般入試募集人員充足率では、国立が104%台で推移し、公立が106〜107%台で推移し、ほぼ横ばいが続ています。
 しかし、私立大学については、2010年に94.4%と、既に一般入試入学者数が一般入試募集人員を下回る、つまり定員割れ状態に陥っており、それが年々その定員割れの状態が悪化し、2017年には88.2%と、1割以上も下回る状態になっています。
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 これを国公私別に一般・非一般の試験種別での募集人員充足率を見てみます。
 国立大学では一般入試の充足率が非一般入試の充足率を上回り、非一般での充足に対して抑制的です。さらに、2015年以降は非一般の募集定員充足率が100%を下回り、非一般での定員割れ状態となっています。これは、東大にしろ京大にしろ、基準に満たない場合は推薦などから取らないという姿勢で、その分、一般入試の定員につけかえています。北大でも今年のAO入試の結果、欠員が出たのですが、その補充分については一般試験の定員を増やすと先日事前告知されました。国立ではこのように非一般入試に厳密で抑制的に運用されています。また、公立大学については非一般入試の募集人員充足率は常に100%を超えていますが、それでも一般入試よりは抑制的なレベルとなっています。
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 他方、私立大学についてみると、上述のとおり一般入試の募集人員充足率は定員割れが続いている一方で、非一般入試については、20%近い定員超過で近年徐々にその超過率を上昇させてきています。
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 推薦入試やAO入試は、通常一般試験に先行して行われているものと認識しています。一般試験後に推薦やAOの入試実施や一般試験の合否の発表後に推薦やAOの追加合格などは、管見にて聞いたことがありません。
 その認識が正しいとすると、先行する推薦・AOで明示よりも沢山学生を確保したあと、一般試験では受け入れると明示していた人数よりも実際は少数しか入学させない(=歩留を考慮して全体定員の辻褄の合う合格者数しか出さない)ということになります。
 そういう事態がたまたま1〜2年あったというのならまだしも、8年間一貫してその状況であり、むしろ、一般入試の定員割れ状態が悪化しているというのは、いかがなものでしょうか? 前回示したとおり、私立大学の一般入試の実質倍率は3倍程度を維持し、1を割っているわけではありません。
 「見せ金」的に沢山入れるように受験案内や情報誌に募集定員を提示しておいて、そこまで採らないというのは、いわば「有利誤認させながら売り惜しみをする」状態になっていると言えるかと思います。
 こういう状態に陥ることについて「一般入試で受験者が集まらない入学定員割れ大学の影響」と考られえるかもしれませんが、確かに以前作成したデータからは4割近くの大学が入学定員割れとなっているのですが、人数ベースでみると、入学定員も入学者数も8割以上が定員割れしていない大学で占められています。そのため、全体傾向は定員割れ大学以外が決定しているとみていいでしょう。
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 ただ、最近はAOや公募推薦などで、非一般入試での歩留率も下がり気味です。
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そのため、いきおい多めに非一般入試での合格も出すように考えているでしょう。
 また、いくら実質倍率が高くても、自らの大学のレベルに満たない受験生を落としたため、というのもあるでしょう。
 しかし、これらの齟齬も短期間ならいざしらず、私立大学全体としてはすでに長期にわたっています。歩留率も一定の線形な変化を見せている中ですので、予測可能だったはずです。
 一般入試からの入学者が限られ、非一般での入学を優先させるなら、ちゃんと一般入試の募集人員を減少する変更をすべきです。そして、AOや推薦の募集人員超過があるなら、一般入試の定員削減を事前に告知すべきでだと思います。私の調査不足かAO・推薦の結果を受けた一般入試の定員変更を告知している私立大学を見たことはありません。
 受験機会を複数用意し、それぞれに過剰に募集枠を設定し、いたずらに受験生を集めることは、偏差値操作や、極端な言い方をすれば詐欺ともいえるのではないでしょうか。

 もちろん、そんな操作をしておらず、一般入試も非一般入試も告知した募集人員から離れぬようにしている大学もあるかと思います。
 そうであればなおさら、募集人員との乖離の大きな大学はひどい詐称となっているかと思います。
 よって、文部科学省は大学に対して各種の情報公開を求めていますが、試験種別の募集人員の正確な履行もまた、大学選択上の重要な情報となります。そこで、この『入学者選抜実施状況』にある数値もまた、各大学ごとの情報開示を指導して頂きたいと思う次第です。

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