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zoom RSS QS University Rankings: Asia 2016

<<   作成日時 : 2016/06/19 03:19   >>

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 昨年に引き続き、今年もQuacquarelli Symonds(QS)から2016年版のアジアの大学ランキングが発表されました。
 日本国内ランキングベースで結果を示すと以下のとおりです。350位までの発表であり、そのうち、日本の大学は74大学がランクインしました。これは、中国(82大学)に及ばすアジア2位です。以下、韓国(54大学)、台湾(34大学)などとなっています。
 日本からランクインした74大学のうち、国立は42大学、公立は8大学、私立は24大学です。
 スーパーグローバル大学の指定校では、タイプA(トップ型)の13大学はすべて100位以内にランクインしました。一方、タイプB(グローバル牽引型)は24大学中12大学と半分に留まっています。以前にも申しましたが、タイプBは世界トップ100を目指すというようなミッションではありませんが、留学生の誘致や優れた研究者を招聘するためには、やはり世界ランキングに名が出ているようでないと難しいかと思いますし、少なくともアジアランキングには絡むぐらいでないと、とは思います。
 さて、個別にみると、日本のトップはこれまで同様、東大です。ただ、アジアランキングは1つ下げて13位で、昨年と同様、トップ10に日本の大学は入りませんでした。アジアトップはシンガポール国立大学で、トップ10は香港4大学、中国・韓国・シンガポールがそれぞれ2大学となっています。英語圏の強みが香港・シンガポールで出ているとも見えるところです。
 国内2位は東工大で、昨年のアジアランキングを1つあげて14位になり、国内ランキングを2つ上げて2位となりました。昨年、このランキングで京大を抜き国内2位だった阪大は、アジアランキングを4つ下げて17位となり、国内4位となりました。京大はアジアランキングを1つ下げたものの、国内3位は昨年と変わらず。東北大は昨年のアジアランキング20位を堅守して、国内順位も5位と変わりませんでした。
 アジア50位内に入った日本の大学は、東大、東工大、京大、阪大、東北大の他に、名大、北大、九大、筑波、早稲田、慶応となっており、学術研究懇談会(RU11)メンバーで占めています。

【2016年版QSアジア大学ランキングにおける日本国内順位】
日本国内順位(アジア順位):大学名〔ポイント〕
●:国立大学、▲:公立大学、○:私立大学

1位(13位):●東京大学〔94.0〕
2位(14位):●東京工業大学〔93.8〕
3位(15位):●京都大学〔93.3〕
4位(17位):●大阪大学〔92.9〕
5位(20位):●東北大学〔90.3〕
6位(26位):●名古屋大学〔85.2〕
7位(28位):●北海道大学〔84.4〕
8位(32位):●九州大学〔81.3〕
9位(34位):●筑波大学〔76.2〕
10位(41位):○早稲田大学〔73.0〕
11位(42位):○慶應義塾大学〔72.5〕
12位(65位):●神戸大学〔61.6〕
13位(79位):●広島大学〔56.3〕
14位(88位):●一橋大学〔52.6〕
15位(91位):●東京医科歯科大学〔51.3〕
16位(114位):○東京理科大学〔45.2〕
17位(116位):●東京農工大学〔44.5〕
18位(119位):●金沢大学、▲首都大学東京〔43.5〕
20位(123位):●千葉大学〔42.4〕
21位(125位):●岡山大学〔42.2〕
22位(126位):●熊本大学〔41.7〕
23位(135位):○上智大学〔39.4〕
24位(136位):●横浜国立大学〔39.2〕
25位(137位):▲国際教養大学〔39.1〕
26位(140位):▲大阪市立大学〔38.9〕
27位(151位):▲大阪府立大学〔37.7〕
28位(154位):●長崎大学〔37.5〕
29位(165位):▲横浜市立大学〔34.3〕
30位(171位):●徳島大学〔33.7〕
31位(173位):○立命館大学〔33.5〕
32位(174位):○国際基督教大学〔33.3〕
33位(175位):●九州工業大学〔33.2〕
34位(183位):●新潟大学〔32.0〕
35位(189位):●鹿児島大学〔31.2〕
36位(193位):●京都工芸繊維大学〔30.9〕
37位(195位):○立教大学〔30.7〕
38-40位(201-210位):●埼玉大学、●群馬大学、○豊田工業大学
41-44位(211-220位):●岐阜大学、○学習院大学、▲秋田県立大学、○明治大学
45-47位(221-230位):●お茶の水女子大学、○青山学院大学、○同志社大学
48-49位(231-240位):○東海大学、●静岡大学
50-54位(241-250位):●信州大学、●宮崎大学、●山形大学、●山口大学、▲山口県立大学
55-60位(251-300位):○北里大学、●三重大学、●高知大学、●佐賀大学、○近畿大学、○中央大学
61-74位(301-350位):●奈良女子大学、●弘前大学、●島根大学、●岩手大学、○日本大学、○日本女子大学、○崇城大学、○京都産業大学、▲群馬県立女子大学、○関西学院大学、●秋田大学、○東京都市大学、○同志社女子大学、○関西大学

注)QS University Rankings: Asia2016のポイント(得点)の構成
 ・研究者間評価(Academic reputation):30%
 ・雇用者評価(Employer reputation):20%
 ・学生あたり教員数(Faculty/student ratio):15%
 ・被引用論文数〔Scopusに依る〕(Citations per paper):10%
 ・教員1人あたり論文数(Papers per faculty):10%
 ・博士号を持つ教員数(Staff with a PhD):5%
 ・外国人教員比率(Proportion of international faculty):2.5%
 ・外国人学生比率(Proportion of international students):2.5%
 ・交換留学生受入比率(Proportion of inbound exchange students):2.5%
 ・交換留学生送出比率(Proportion of outbound exchange students):2.5%


 ところで、この地域別順位のアジア版は過去3ヵ年実施されてきていますが、今回、いくつかの変更点がありました。
 @評価ポイントの構成の変更
  ・被引用論文数(Citations per paper)と教員1人あたり論文数(Papers per faculty)とを、ともに15%から10%に縮小
  ・学生あたり教員数(Faculty/student ratio)を20%から15%に縮小
  ・雇用者評価(Employer reputation)を10%から20%に拡大
  ・博士号を持つ教員数(Staff with a PhD)を新設(5%)
 A発表するランキングの範囲・区分の変更
  ・発表する順位を、300位までから350位までに拡大
  ・評価ポイントの発表を、150位までから200位までに拡大
  ・1位刻みの発表を、150位までから200位まで拡大
  ・201-250位まで一括だった発表を、10位刻みに細分化

 このような変更があるため、昨年版以前との比較は注意を要するかと思われます。
 とりあえず、前年との順位の比較をすると下表のとおりとなります。
画像


 昨年、QSアジアランキングにランクインした日本の大学は68大学でしたが、今年は74大学となりました。山口県立大学、群馬県立女子大学、関西学院大学が返り咲き、秋田大学、東京都市大学、同志社女子大学、関西大学が初ランクインしました。
 ただし、この増加は上述のとおり発表範囲が300位→350位へと拡大したためもあります。昨年同様に300位以内の場合は今年は60大学となり、8大学の減となっています。具体的には、山口県立大学が300位圏外から241-250位に返り咲いた一方で、奈良女子大学、弘前大学、島根大学、岩手大学、日本大学、日本女子大学、崇城大学、京都産業大学が300位以内から301-350位のランクに落ち、京都教育大学は350位圏外となりました。
 昨年度との比較可能な63大学についてみると、ランクアップした大学は9大学、維持は2大学、ランクダウンした大学は52大学となっており、順位を下げた大学が圧倒的に多くなっています。
 昨年度よりもアジアランキングがランクアップした大学は、以下のとおりです。
  東京工業大学:15位→14位
  一橋大学:127位→88位
  東京理科大学:133位→114位
  上智大学:151-160位→135位
  横浜国立大学:145位→136位
  国際教養大学:201-250位→137位
  九州工業大学:191-200位→175位
  同志社大学:251-300位→221-230位
  山口県立大学:300位圏外→241-250位

 一方、昨年度よりもアジアランキングがランクダウンした大学は多数あるのですが、特徴的なところを挙げますと以下のような感じでしょうか。
 @下位を中心とした大幅ダウン
  信州大学:少なくとも-93位ダウン(最悪-102位ダウン)
  北里大学:少なくとも-81位ダウン(最悪-139位ダウン)
  埼玉大学:少なくとも-72位ダウン(最悪-81位ダウン)
  三重大学:少なくとも-71位ダウン(最悪-129位ダウン)
  宮崎大学:少なくとも-71位ダウン(最悪-89位ダウン)
  山形大学:少なくとも-71位ダウン(最悪-89位ダウン)
  岐阜大学:少なくとも-70位ダウン(最悪-79位ダウン)
  群馬大学:少なくとも-69位ダウン(最悪-78位ダウン)

 Aベスト100からの脱落など 
  金沢大学:73位→119位(-46位ダウン)
  千葉大学:80位→123位(-43位ダウン)
  岡山大学:83位→125位(-42位ダウン)
  大阪市立大学:87位→140位(-53位ダウン)
  首都大学東京:96位→119位(-23位ダウン)
  熊本大学:101位→126位(-26位ダウン)
  長崎大学:108位→154位(-46位ダウン)
  横浜市立大学:107位→165位(-58位ダウン)
  新潟大学:133位→183位(-50位ダウン)

 昨年版はアジアトップ100に日本から19大学が入っていましたが、今年は15大学へと減少しました。上記のとおり一橋がトップ100入りした一方で、Aに示したように金沢、千葉、岡山、阪市、首都が100位圏外に落ちました。
 このように昨年に引き続き日本の大学は低下傾向にあるのですが、落ち幅が大きい多数あることが特徴となっています。その特徴について考えると、まずその前に、順位を上げた9大学をみて当ブログが気づくのは、いずれも医学部を持たない大学が今回順位を上げたということです。下がった例で挙げた@Aのうち、埼玉と首都東京以外はいずれも医学部を持つ大学です。特に金沢、千葉、岡山、熊本、長崎、新潟は旧官立の旧制医科大学、いわゆる旧六医として、医学部が看板の大学です。また、信州や群馬もいわゆる新八医として有力な医学部を持つ大学です。大阪市立も横浜市立も医学部が看板ですし、私立の北里もそうです。
 これら有力な医学部を持つ大学を中心に順位を落とし、一方で医学部を持たない大学が順位を上げるといった傾向は何から来るのか?
 当ブログが考えるに、それは先に示した評価ポイントの変更が大きく影響しているのではないか、ということです。もちろんこれまでの日本の大学の低迷傾向もあるのですが、それに加えて評価ポイントの変更が不利に働いているのかと思うのです。
 まず変更点で大きいのは、雇用者評価が10%から20%へと従来の2倍の重みに拡大にしたことでしょう。いったいどのレベルの雇用主まで調査が及んでいるのかは明示されていませんが、日本の場合だと医学部から大企業やグローバル企業への就職というのは少なく、病院勤務や開業というのが主です。そのため、民間雇用主からでは医学部看板の大学はなかなか評価を受ける機会が減ってしまいます。旧六医の国立大学はどれも総合大学なのですが、それでも旧帝大に比べれば医学部以外の学部は規模は小さく、多くの雇用主に人材が行き渡っているわけでもありません。そういう点で不利になった大学が多く出ているのではないか、と思うのです。他方で、就職面での評判が良いとされる一橋などが上昇したのではないかと考えます。
 また、他方で、Ph.D取得者の数が加えられましたが、このあたりも医学部中心のところに、どう影響したか。管見にて、医学部の教員における博士号の取得率を存じてはいないのですが、以前に紹介したとおり、日本の大学における教員構成は医療関係にかなり偏っています。医学部の先生方もほとんど博士号を持っていたと思うのですが、しかし、今回のように医学部主体の大学で軒並み順位を下げるような事態だと、教員数の多い医学部系での取得状況が影響しているのではないかと思う次第です。
 このように、医学部が看板となる日本の大学が多数順位を下げており、そのために、地方国立大学が多数、大幅な順位を下げる結果になっている状況です。
 
 以上のようなアジアランキングでの変動に伴って、それでは日本国内順位がどうなっているかとみると、下表のとおりです。
画像

 全体的にアジアランキングでの順位を落としている中でも、特に医学系や地方国立が大幅に落ち込んでしまったものですから、そうでない大学は、相対的に国内順が上がるような状況となりました。具体的には、早稲田、農工、首都東京、京都工繊、立教などがそういった例になります。またアジアランキングの区切りの関係から順位の変動は明確ではないものの、国内順位では相対的に上昇したのが大阪府立、立命館、ICU、明治、青学、中央などであり、大都市部の私立大学を中心に国内順位の上昇がみられます。

 最後にポイントについて見ておきますと、今年度の結果からは、アジアトップ50に入ったRU11の大学群と、その下とでは、一段のポイント獲得差が見受けれるかと思います。
画像


 ポイントの推移については、構成が変わったため比較は難しいのですが、変更に伴い上位大学と下位大学の間での格差が大きくなってきています。
 ポイントの構成が変わっても、上位の大学、具体的には11位までのRU11メンバーの大学はそれほどポイントを落としていません。どんな角度から見られてもちゃんと体制があるとみていいでしょう。しかし、神戸大学以下の大学は、唯一ポイントが増加した一橋の他、理大、農工、横国を除き、軒並み10ポイント以上の減少となっています。上下の差が拡大しているのは事実とみられます。
画像


 今回のQSのアジア大学ランキングから見えることは、ポイントの構成を変えるだけでかなり順位の変動が起きるということでしょうか。もちろん、これまでの衰退傾向の延長とでの寄与度の差異は分からないものの、一定の傾向をもって、影響が現れていると見えるかと思います。
 それだけ、格付け機関の考え方次第で大学ランキングは変動するものです。
 文科省はTHEのほうを重視しているようなので、QSの、しかもアジアランキングをみて政策をどうこうすることはないでしょう。ただ、大学ランキングへのランクイン数を政策目標に掲げている中で、評価軸を変えうる格付け機関に振り回されることになりかねないかと心配するわけです。極端な話、大学ランキングを見て、いきおい「海外のPh.Dの教員を沢山採用せねば」となると、なんだか英米のポスドク失業対策に日本の大学が利用されるだけでは、とまで穿った見方をしたくなってしまいます。
 世界大学ランキングを紹介している当ブログが「政府は大学ランキングに振り回されるな」と言うのは、自己矛盾かもしれませんが、それでも、ランキングに右往左往されぬよう、冷静な高等教育施策を望むところです。

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THE Asia University Rankings 2016
 前回のQSに引き続きTimes Higher Education(THE)からも2016年のアジア大学ランキングが発表されました。  まずもって衝撃的なのは、昨年までアジア首位を維持してきた東大が一気に7位に転落したことでしょう。また、京大も昨年までのトップ10から押し出されました。  トップ100には昨年は我が国から19大学が入っていましたが、今年は14大学に減少。農工がトップ100に返り咲いた一方で、千葉、金沢、順天堂、慶応、神戸、岡山がトップ100から落ちてしまいました。なお、... ...続きを見る
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2016/06/21 03:55

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